デリケートゾーンのにおいから考えられる症状について

下腹部に手を当てる女性

デリケートゾーンのにおいは、多くの場合正常な範囲内の体臭ですが、場合によっては健康状態の変化や病気のサインである可能性もあります。以下では、においの原因と考えられる症状や疾患について解説します。

正常な分泌物やホルモンバランスの影響

デリケートゾーンには常在菌が存在し、健康な状態では乳酸菌(ラクトバチルス属)が優勢です。この菌は弱酸性の環境を保ち、外部からの感染を防ぎます。ただし、生理周期や妊娠、更年期によるホルモンバランスの変化が影響を与え、においが強くなることがあります。特に生理中や排卵期には、分泌物が増加し、においが目立つこともありますが、これは通常健康な反応です。

腟炎や細菌性膣炎(BV)

異常なにおいの最も一般的な原因の一つが“細菌性腟炎(BV)”です。BVは腟内の乳酸菌が減少し、嫌気性菌(ガードネレラやモビロウナス菌など)が増殖することで起こります。この状態では、魚の腐敗臭のような特徴的なにおいが発生します。他の症状として、水っぽい灰白色の分泌物がみられることがあります。

性感染症(STI)

性感染症の中には、デリケートゾーンのにおいを引き起こすものもあります。たとえば、トリコモナス腟炎では、泡状の黄緑色の分泌物とともに強いにおいが生じることがあります。また、クラミジア感染症や淋病も、炎症や異常な分泌物を伴い、においの変化を引き起こすことがあります。

カンジダ腟炎

カンジダ菌の異常増殖による腟炎は、かゆみやヨーグルト状の分泌物を特徴としますが、特に強いにおいを伴わないことが多いです。ただし、慢性化や他の感染症との併発によってにおいが強まる場合もあります。

経血や異物の残留

生理用ナプキンやタンポンを長時間交換しない場合、または腟内に異物が残っている場合、分解臭や感染のリスクが高まります。これは、腐敗臭や強い不快なにおいを引き起こす原因となります。

腟以外の部位の原因

においの原因が必ずしも腟内に限定されるわけではありません。汗腺が多い陰部では、汗や皮脂が分解されることでにおいが生じることもあります。また、デリケートゾーン周辺の皮膚に湿疹や炎症がある場合もにおいが強くなる可能性があります。

注意が必要な症状

デリケートゾーンのにおいが強い場合でも、以下の症状がある場合は早急に医療機関を受診してください
・異常な色や量の分泌物(黄緑色、灰白色、血性など)
・強いかゆみや痛み
・発熱を伴う場合
・性交後に悪化するにおい

予防と対策

・通気性の良い下着を着用し、過剰な洗浄を避ける。
・乳酸菌を含む食事やサプリメントで腟内の環境をサポートする。
・不安がある場合は婦人科で適切な診断と治療を受ける。

においは恥ずかしいと感じる方も多いですが、健康状態を知る重要な手がかりです。気になる場合は、自己判断せずに医師に相談することが大切です。

うめだファティリティー


監修:山下 能毅 先生(うめだファティリティークリニック 院長)
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