経口摂取と経腟投与

乳酸菌を摂取方法には経口投与と経腟投与があり、諸外国では二つの投与経路についての検証や、投与するための製品が販売されています。2つの方法がありますがそれぞれにメリットとデメリットがあります。

経口で乳酸菌のサプリを摂取する場合 メリット

1.全身的な効果
経口で乳酸菌を摂取すると、腸内フローラの改善が期待でき、全身の免疫機能を強化する効果があります。腸内環境が整うことで、体全体の健康が促進され、間接的に子宮内フローラにも良い影響を与える可能性があります。

2.簡便性
経口サプリメントは服用が簡単であり、日常生活において手軽に取り入れやすいという利点があります。薬局やオンラインショップで手軽に購入できるため、患者が自分のペースで続けやすい方法です。

3.長期的な摂取が可能
経口摂取は長期間にわたって行うことが可能であり、フローラの状態が安定するまで継続的に摂取することで、より持続的な効果が期待できます。

経口で乳酸菌のサプリを摂取する場合 デメリット

1.効果の遅さ
経口摂取の場合、乳酸菌が腸を経由して子宮内に到達するため、効果が現れるまでに時間がかかることがあります。腸内での吸収過程やフローラの改善に時間を要するため、即効性は期待しにくいです。

2.腸内での変化に依存
経口摂取した乳酸菌はまず腸内で働くため、腸内環境が悪化している場合、効果が十分に得られないことがあります。腸内フローラの状態が子宮内フローラにどの程度影響を与えるかは個人差が大きいため、効果が不確実である点も考慮する必要があります。

3.個人差が大きい
経口摂取による乳酸菌の効果は、個人の体質や腸内フローラの状態によって異なるため、全ての患者に同じ効果が得られるわけではありません。また、乳酸菌の種類や摂取量によっても効果が異なる可能性があります。

経腟で乳酸菌の製剤を投与する場合 メリット

1.局所的な即効性
経腟投与は、子宮や膣内に直接乳酸菌を届けることができるため、経口摂取よりも早く効果が現れることが期待されます。これにより、局所的なフローラの改善が迅速に行われ、症状の改善が早まる可能性があります。

2.ターゲットを絞った治療
経腟投与は、子宮内フローラの改善に焦点を当てた治療法であるため、子宮内環境の改善を直接的に目指すことができます。この方法は、特に子宮内フローラの状態が悪い患者にとって、効果的なアプローチとなる可能性があります。

3.腸内環境に影響されにくい
経腟投与は腸内フローラに依存しないため、腸内環境が悪化していても子宮内フローラに直接作用することができます。腸内フローラが不安定な患者にとって、この方法は効果的な選択肢となり得ます。

経腟で乳酸菌の製剤を投与する場合 デメリット

1.使用の不便さ
経腟投与は、経口摂取に比べて使用方法が煩雑であり、患者にとって抵抗感がある場合があります。特に自己投与の場合、正確に使用することが難しいと感じる患者もいるかもしれません。

2.局所反応のリスク
経腟投与は、局所での反応や副作用のリスクが伴います。膣や子宮内の敏感な組織に直接薬剤を投与するため、刺激や不快感を引き起こすことがあります。これにより、一部の患者はこの治療法を継続することに抵抗を感じるかもしれません。

3.長期的な影響が不明確
経腟投与による乳酸菌治療の長期的な影響については、まだ十分に研究されていない部分があります。したがって、長期的な安全性や効果については注意深く観察する必要があります。

経口での乳酸菌サプリ摂取と経腟での乳酸菌製剤投与は、それぞれ異なるメリットとデメリットを持つ治療法です。患者の状態や生活スタイル、治療目標に応じて、最適な方法を選択することが重要です。経口摂取は全身的な健康改善を目指す場合に適しており、経腟投与は局所的なフローラ改善を迅速に行いたい場合に効果的です。患者ごとのニーズに合わせて、医師と相談しながら治療方針を決定することが求められます。


監修:岩見 菜々子 先生(医療法人団 神谷レディースクリニック 医師)
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