トリコモナス腟炎の治療法

診察を受ける女性

トリコモナス腟炎は、トリコモナス・ヴァジナリス(Trichomonas vaginalis)という原虫によって引き起こされる性感染症(STI)の一種です。感染すると、腟や外陰部にかゆみ、悪臭のある泡状の黄緑色のおりもの、痛み、灼熱感、性交時の痛みなどの症状が現れます。以下に、トリコモナス腟炎の治療法を詳しく説明します。

抗原虫薬の使用

トリコモナス腟炎の治療には、抗原虫薬が主に使用されます。以下の薬剤が一般的です。
● メトロニダゾール(Metronidazole): メトロニダゾールは、トリコモナス腟炎の治療に最も広く使われる薬です。通常は、以下のいずれかの方法で服用されます。
○ 単回投与: 2gを1回内服。
○ 分割投与: 500mgを1日2回、7日間内服。
● チニダゾール(Tinidazole): チニダゾールは、メトロニダゾールと同様の効果を持つ薬剤で、2gを1回内服する方法が一般的です。チニダゾールは、メトロニダゾールに比べて副作用が少ないとされることもありますが、どちらの薬剤も非常に効果的です。
これらの薬剤は、トリコモナス腟炎の治療において高い治癒率を示しますが、アルコールとの相互作用があるため、服用中および服用後少なくとも48時間はアルコールの摂取を避ける必要があります。

パートナーの同時治療

トリコモナス腟炎は性感染症であるため、パートナーも同時に治療を受けることが非常に重要です。パートナーが無症状であっても感染している可能性が高いため、適切な治療を行うことで再感染のリスクを防ぐことができます。両者が治療を完了するまで、性行為を控えることが推奨されます。

生活習慣の見直しと予防策

トリコモナス腟炎の再発や他の性感染症を防ぐために、以下の生活習慣の見直しや予防策が役立ちます。
● 安全な性行為の実践: コンドームの使用は、トリコモナス腟炎だけでなく他の性感染症からも身を守るために非常に効果的です。複数のパートナーと性行為を行う場合は、常にコンドームを使用することが推奨されます。
● 定期的な性感染症検査: トリコモナス腟炎に感染したことがある場合、他の性感染症に感染するリスクも高まります。そのため、定期的に性感染症の検査を受けることが重要です。

症状の再発防止とフォローアップ

トリコモナス腟炎は、適切な治療を行えば通常は治癒しますが、再発することもあります。再発を防ぐためには、以下の対策が重要です。
● 治療完了後の確認: 症状が治まった後も、医師の指示に従い治療を完了することが重要です。また、治療終了後に再度感染が疑われる場合は、再検査を行い、必要に応じて再治療を受けることが推奨されます。
● 症状が改善しない場合の対応: メトロニダゾールやチニダゾールの治療に反応しない場合や、症状が再発した場合は、医師に相談して追加の検査や異なる治療法を検討する必要があります。

妊娠中のトリコモナス腟炎治療

妊娠中のトリコモナス腟炎は、早産や低出生体重のリスクを高める可能性があるため、特別な注意が必要です。妊娠中の治療にはメトロニダゾールが使用されますが、特に初期の段階では医師と十分に相談し、治療のリスクと利益を評価することが重要です。

トリコモナス腟炎は、適切な治療を受ければ治癒しますが、再感染や再発のリスクを最小限にするために、予防策を徹底し、パートナーと共に治療を受けることが大切です。また、定期的な検査やフォローアップも、再発を防ぐために重要な要素です。