卵巣嚢腫とは?自覚しにくい疾患への備え

卵巣嚢腫は、女性の卵巣に液体が溜まった袋状の構造(嚢胞)ができる疾患で、多くは良性ですが、中には手術が必要なケースや、稀に悪性の可能性がある場合もあります。自覚症状が乏しいことが多いため、定期的な婦人科検診と自分の体の変化への気づきが大切です。
卵巣嚢腫の種類と特徴
卵巣嚢腫は大きく分けて、排卵の過程でできる「機能性嚢胞」と、それ以外の「器質性嚢胞」に分類されます。前者は自然に消失することも多く、経過観察で済むケースが大半です。一方、皮様嚢腫や漿液性・粘液性嚢腫、チョコレート嚢胞(子宮内膜症性嚢胞)などの器質性嚢胞は大きくなる傾向があり、破裂や捻転などのリスクを伴うこともあります。
初期症状が出にくいからこその注意
卵巣嚢腫は初期段階では無症状であることが多く、かなり大きくなってから下腹部の痛みや張り、頻尿、便秘などの症状が現れることがあります。ときに嚢腫がねじれてしまう「茎捻転」や、嚢腫の破裂により激しい腹痛や緊急手術が必要になる場合もあります。月経不順や不妊と関連するケースもあり、婦人科的な異変に気づいたら早めに相談することが重要です。
診断と治療の進め方
卵巣嚢腫の診断には、内診や経腟超音波検査、MRIや血液検査(腫瘍マーカー)などが行われます。嚢腫の種類や大きさ、年齢、症状の有無に応じて、経過観察・薬物治療・手術といった対応が選ばれます。チョコレート嚢胞の場合は、子宮内膜症の治療と並行してホルモン療法が検討されることもあります。悪性の可能性が否定できない場合は、速やかに専門的な検査と治療が必要になります。
日常生活の中でできる予防と対策
卵巣嚢腫の予防法は確立されていませんが、生活習慣を整え、ホルモンバランスの乱れを避けることが重要です。バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動はもちろん、腸内環境や腟内環境を良好に保つことがホルモン調整に関わることも指摘されています。最近では、乳酸菌を含むサプリメントが女性の体内環境を整える目的で活用されており、医師の指導と併用して取り入れる人も増えています。
卵巣嚢腫は見過ごされがちな疾患である一方、適切なタイミングでの発見と対処によって大きなリスクを回避することが可能です。違和感や症状を見逃さず、定期的な婦人科受診を習慣にすることが自分の体を守る第一歩となります。自覚症状のない時期こそ、ケアの意識を高めることが大切です。